育てるのが楽しみ。

松重見聞録


育てるのが楽しみ。

今回の舞台は東京都墨田区。物語の始まりは、松重宛に届いた1通の手紙だった。“日本で初めて革のハンドバッグを作った職人”を祖母に持つというデザイナーが、ある特殊な「がま口財布」作りに取り組んでいるという。工房を訪ねると見えてきた、日本の革産業の現状とは…?


松重見聞録ダイジェスト

特集「松重見聞録」の動画の見どころをご紹介します。


松重豊に届いた一通の手紙

旅のきっかけとなったのは、東京都墨田区に工房をもつデザイナーからの手紙だった。

「私は3代続く革製品作りを家業にしている、小川陽生と申します。曾祖母には日本で初めて革のハンドバッグを作った職人『重田なを』を持ち、私も先代に負けじと日々精進している次第です。」

見たことない財布

手紙に添えられていたのは、松重も見たことがないちょっと変わった形の“がま口財布”。小川さんが今取り組んでいる商品だというが、がま口財布なのに開ける時にひねる玉の部分がついていない。

「この財布の職人は極少数なうえ、高齢です。後世に残せないかもしれない貴重な財布を開けて、がま口財布の世界に足を踏み入れてみては如何でしょうか。」

財布の正体を探りに… 秘密基地のような工房へ

手紙の送り主・小川さんは曾祖母、祖父、父と代々革を使ったものづくりをしてきた家に生まれ、自身も10年前にデザイナーとして独立した。GNUOYP(ニュピ)というブランドを立ち上げ、現在は古くから付き合いのあった皮革店の2階を間借りして、そこで製作活動を行っている。

創業30年以上の皮革店・ロジック。ここの2階にGNUOYPがある。
GNUOYP代表・小川陽生さん

作る職人がいない… 「天溝」とは?

「天溝」や「押し口」と呼ばれるこのタイプのがま口財布は、げんこ(突起部分)がないのが特徴。江戸時代から花街として栄えたこの地域で、着物の帯の下に挟んで使えるように、薄くてコンパクトな形があみ出されたとされている。しかし、一般的ながま口よりも作るのに技術も手間も要するため、「工賃に見合わない」と職人の数が激減。小川さんは「この状況をなんとかしたい」と職人中心の商品作りを目指し始めた。

スリムながま口財布・通称「天溝」

野生鹿の革で作る新商品

新商品で使うのは、“害獣”として駆除されてしまった国産鹿の革。野生で生きてきたからこそ、革の表情は様々で味があり、牛革などと比べ柔らかくて軽いため使い心地もいいという。革の個性をデザインに落とし込むため、裁断・型押しといった作業はデザイナーの小川さん自らが行う。新商品にはある模様がプレスされているが、その正体はー?



相棒は“がま口歴50年”のおじいちゃん職人

裁断された革を持って小川さんが向かったのは、千葉市美浜区の稲毛海岸近くにある工房。ここで小川さんの相棒である がま口職人・中川守和さんが財布を形にしている。
中川さんは裁断されたパーツの厚みを一枚一枚、ミリ単位で調節。糊で張り合わせたり、ミシンで縫ったり、何十もの工程を重ねて丁寧に組み立てていく。作業をより複雑にしている「小川さんのこだわり」にぼやくシーンも…!?


今回もやります

天溝の手触りやパチパチと開閉する感触に魅了された松重は、今回も職人の手仕事を体験。これまで体験してきた作業はどれも難しすぎたが…「パチン」と気持ち良い音を出すオリジナル財布を完成させることはできるのか?

口金に革を入れ込む作業

編集部おすすめのシーンがラストに…

2人の今後の夢を語ってもらっていた時、中川さんがおもむろに“あるもの”を取り出し、松重に手渡した。それは自分の特注名刺。会ってすぐには渡さなかった理由と、その独特の形をお見逃しなく!

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僅か1cm !? 極薄なのに驚きの収納力◎優しい手ざわりで嵩張らないニュピの“がまぐち”

世代を超えたタッグで挑む『天溝』がまぐち。シンプルに詰まった拘りと職人の丁寧な手仕事で仕上げる、キャッシュレス時代のNEW STANDRAD 財布です。