ジジイが着て楽しんでいるだけではもったいない

松重見聞録


ジジイが着て楽しんでいるだけではもったいない

2025年春、昔ながらのシャトル織機で織られた遠州織物に魅了された松重は、初秋に再び静岡県西部の遠州を訪れた。遠州は、日本製コーデュロイの9割以上を占める国内唯一の産地。品質が認められ、海外の高級ブランドなどにも採用されている遠州のコーデュロイだが、安価な海外製に押され作り手が激減し、絶滅が危惧される状況となってしまっている。


松重見聞録ダイジェスト

特集「松重見聞録」の動画の見どころをご紹介します。


呼び出された場所は棚田?

綿花の収穫体験

遠州織物のアパレルブランドHUIS(ハウス)の松下さんと待ち合わせしたのは、浜松市浜名区にある久留女木(くるめき)の棚田。

総面積7.7haに約800枚の田んぼがある久留女木の棚田
HUIS代表の松下昌樹さん
収穫時期を迎えた綿花

日本の棚田百選にも選定された美しい景観の一角で、綿花の栽培が行われている。現在、日本の綿花自給率は、ほぼ0%となってしまっているが、綿花から服ができるということを知ってほしいとHUISでは、この地で収穫された綿を混ぜたシャツの販売もしている。綿花に触れるのは初めてだった松重も、収穫体験をさせていただいた。

綿花はとても柔らかかった

国内唯一のコーデュロイ産地 好きが止まらない松重豊

秋冬にぴったりのベストとパンツを試着

浜松市中央区にあるHUISのショールームで遠州コーデュロイのベストとパンツを見せてもらった。ボリューム感のあるコーデュロイだが、やわらかく、想像以上に軽い。

試着室から出てきた松重

松重は大好きな色のネイビーを試着し、試着室から出てくるや否や、「このまま着て帰っていいですか?」とご満悦。「ジジイが来て楽しんでいるだけはもったいない」と若い人にも遠州のコーデュロイをおすすめ。そして、服好きの松重は自宅のクローゼットについても、またまたある「こだわり」を暴露?

「コール天」は遠州の職人の誇り高き愛称

「コール天」と聞くと、古くてダサい生地のように感じる人も多いかもしれないが、実は最高級の呼び名だった。ヨーロッパから伝わってきたコーデュロイだが、その作り方までは教えてもらえなかったという。そこで、遠州の職人が独自の製法で発展させ、本家以上の質にまで昇華させたものの象徴として「コール天」と呼ぶようになったそう。
※コール天の「天」は、滑らかで光沢のあるパイル織物の一種であるビロードを天鵝絨(てんがじゅう)と漢字で書いたところから付けられた。

超過酷な製造工程は「まるで地獄めぐり」

綿花緻密な手作業で畝(うね)を作り出すカッチング収穫体験

コーデュロイの製造は、特有の畝(うね)を作るために、他の生地にはない手間がかかる。生地のよこパイルを切る工程を、遠州ではカッチングと呼び、専門の業者が存在する。磐田市福田地区のカネタカ石田さんで、カッチングを見せていただいた。

カネタカ石田の石田尚貴さん

1つの畝(うね)を作るために両サイドのよこパイルを切っていくのだが、円盤状のカッターが入るためのガイドの針を1本1本刺していく。畝(うね)を均一にするためには、すべてのよこパイルの真ん中にガイドの針を刺す必要がある緻密な手作業だった。

1本1本ガイドの針を刺していく

国内唯一になってしまったコーデュロイ加工場

磐田市中泉にある磐田産業さん

カッチングにより、よこパイルが切られた生地は、仕上げの加工場に運ばれる。磐田駅のほど近くある磐田産業さんは、現在、唯一残っている遠州コーデュロイの加工場だ。

何度も水に通し揉み洗い
800度のローラーで毛羽を焼く

軽くてやわらかなコーデュロイにするための仕上げ作業を見学した松重が「まるで地獄めぐり」と表現するほどの驚きの工程を経て、遠州のコーデュロイは作られていた。

仕上げの工程に驚く松重と、案内してくれたカネタ織物の太田充俊さん

関連クラウドファンディング

職人のこだわりが詰まった遠州コーデュロイ

遠州織物のアパレルブランドを展開するHUISが、貴重な遠州コーデュロイで作ったベストとパンツを限定受注生産。「絶対に残してもらいたい」と松重さんも危惧する手間暇かけた製法が生み出す、柔らかく軽い質感は唯一無二です。