松重見聞録
土鍋ってすごい、不勉強を恥じます。
今回の行き先は、三重県四日市市。創業160年以上の窯元「華月」の当代とその娘が知恵を振り絞り、伝統と現代性が融合する土鍋を生み出した。「料亭の美味しいごはんの味」を最短13分で簡単に再現できるという土鍋を徹底解剖。そして、誕生の背景にある親子のストーリーとは?
CONTENTS
萬古焼の産地・三重県四日市市へ
旅の舞台は、三重県四日市市。四日市と聞くと工場地帯のイメージが強いが、江戸時代には東海道と伊勢街道が交わる宿場町として栄え、生活に使われる焼き物が多く作られてきた。日本の伝統工芸品にも指定されている「萬古焼(ばんこやき)」発祥の地はここ四日市で、現在も約100の窯元と問屋が集積している。
とにかく強い!萬古焼
四日市萬古焼は、「萬古の印があることが一番の特徴」と言われるほど形が多種多様だが、特に土鍋は多くの窯元で製造されていて、生産高は国内産土鍋の約80%を占めている。特徴はなんといっても「耐熱性」。ガスレンジや炭火などの直火にも安心して使用できる耐久性を持ち、空焚きしても割れる心配がないほどだ。
鍋を極めた窯元「華月」の挑戦
今回松重が訪ねた窯元「華月」は、創業160年の歴史をもつ製造所だ。餅や茶を作る石臼の作り手として誕生し、花器、食器や鍋と、時代に合わせて様々な器を作ってきた。近年は“ごはんを美味しく炊ける土鍋”の製造に注力。この春、新たなごはん土鍋「INAHO(いなほ)」を完成させた。
最短13分で料亭の味に炊ける土鍋
「自宅のガスコンロで料亭の味」を目指して作られたこの土鍋は、1合なら火にかけて13分後には食べられるという。驚きの速さで米を炊くことができるほか、一般的な土鍋や鉄鍋で炊く際に必要不可欠な「火加減の調整」を省くことに成功。「本当にそんなに速く、美味しいご飯が炊けるのか…?」検証するべく、松重も人生で初めて土鍋炊飯に挑戦する。
土鍋で炊いたごはんの味は?
米を噛み締め、思わず….
恐る恐る蓋を開けると、粒が立っていてピカピカのごはんが炊けていた!早速口に運んだ松重は、深く噛み締めてその美味しさを表現しようとするが、感動のあまり口をついて出た言葉が「不勉強を恥じます。」その真意とは….?
土鍋職人直伝「絶品おにぎり」の作り方も
白ごはんの美味しい食べ方と言ったら、やっぱりおにぎり。土鍋ごはんと向き合い続けてきた職人が編み出した、最も美味しい握り方を松重に伝授する。絶対試したくなる炊飯以外の土鍋活用レシピも大公開。
職人父娘のストーリーにも注目
実はこの取材の前年、華月は工場の大部分を解体。窯元の5代目である父から、6代目となる娘への代替わりに向けて、生産規模を大幅に縮小していた。
「絶対に継がない」と県外に就職していった娘が、窯元へ戻ってきた理由と華月が迎えている“危機”とはー?
関連クラウドファンディング