ディレクターズコラム
【2番札】若者のアイデアが溢れてる!墨田区京島の銭湯サウナ
初心者サウナーが、「おふろ屋さんはいいサウナを知っているに違いない」とおすすめサウナを巡り歩くこの企画。「薬師湯」店主におすすめされたのは、同じ墨田区の個性あふれる銭湯。建物や内観は昔ながらの雰囲気が全面に出ているのに、中には独特の世界が広がっていた?!
電気風呂はないけど「電気湯」
この企画の初回に訪れた「薬師湯」(墨田区向島)の店主におすすめを尋ねたところ、「電気湯」の名前が挙がった。話によると「若いスタッフが工夫を凝らす発展途上銭湯」とのこと。
場所は京成曳舟駅から歩いて5分ほど、東京スカイツリーからは10分ほどの落ち着いた住宅街の中。地元の人たちに愛されているんだろうなという雰囲気が、外にも伝わってくる。
異色の経歴を持つ店主
店主は大久保勝仁さん。ここが実家だそうだが、2019年に継ぐまでは国連の関連機関でグローバルに活躍していたとのこと。銭湯の経営経験は全くなかったが、地域の人たちをつないでいるこのお風呂をなくしてはいけないと、家業を継ぐ決意をしたのだそう。
ちなみに「電気湯」というちょっと変わった名前は、かつて電気風呂(湯船に微弱の電流が流れるお風呂)があった時代、地域の人たちがこの銭湯を「電気湯」と呼んでいたことから来ているらしい。現在は電気風呂はなく、お湯もガスで沸かしている。
高い天井にリビングのような居心地の良さ
電気湯の特徴は、広々とした浴室とアットホームな雰囲気。外見からは想像がつかないほど天井が高く、脱衣所も筆者が訪れたことのある銭湯と比べてかなり広々としている。浴室の天井はカラフルなボーダーになっていて、なんだか明るい気分になる。壁の掲示物は、電気湯の仕事を紹介するノスタルジック調のものもあれば、入浴のマナーを伝えるかわいらしいものまで、さまざま。
多彩なアイデアで独特の世界観を
大久保さんが考える銭湯とは、誰かの居場所になれるところ。経営を継ぐにあたりまずは室内を徹底的に清掃し、厳しめの言葉(〇〇するな!など)で書かれていた掲示物も作り替えたそう。また番台に立つスタッフは毎日日替わりにして常連さんが飽きないようにしたり、湯上がりに読めるようロビーにスタッフの自作小説を置いたりと、他では見ない取り組みが多々。こうした店内の「改革」は、30人ほどのスタッフによって支えられている。スタッフは10代〜30代と若く、「決まったコンセプトはない」と大久保さん。「スタッフそれぞれにやりたい世界観があるので、任せている」とのこと。だけどその“いいごちゃごちゃ感”が、居心地の良さを生み出しているのかもしれない。
全面に押されてないけどポテンシャル高いサウナ
そんな電気湯のサウナは、男女ともに100度を超えるドライサウナ。定員は6人といったところだ。入り口にはサウナマット完備。ストーブの上に置かれたやかんには水とサウナ専用のアロマが入っていて、いい香りを楽しみながら汗を流すことができる。
水風呂は地下水をそのまま汲み上げており、夏は15℃前後、冬は10度前後だという。
大久保さんは、「入浴だけする人とサウナに入る人は所作が違うので、入浴だけの常連さんも多い中でサウナを全面にPRすることはしていない」とのことだったが、初心者サウナーの筆者でも、ポテンシャルの高いサウナだということは分かる。近いうちに電気湯のサウナを存分に楽しみに行くぞと心の中で決心したのであった(取材日はその後の仕事が詰まっていて入れなかった…)。
電気湯店主のおすすめサウナは?
このコラムシリーズでは、紹介した施設の店主に次なるおすすめ店舗を紹介してもらう。電気湯店主の大久保さんに尋ねると、お気に入りは今回の紹介元の「薬師湯」とのこと。しかしそれではシリーズが終わってしまうので、別な施設はないかと聞いたところ、東上野の「寿湯」を挙げてくれた。「寿湯さんは(サウナの良さはもちろんのこと)動線の設計もさりげなく上手で、毎回唖然とさせられます。「サウナ入りてェ!」ってなったら必ず寿湯さんに行きます」。ということで次の取材先は寿湯に決定!次回もお楽しみに♨︎
電気湯
東京都墨田区京島3-10-10
午後3時〜深夜0時(土曜定休)
※サウナの最終受付は午後11時
※毎週日曜は朝風呂も実施(午前8時〜正午)
https://denki-yu.studio.site/