ふくしま「おいSeaFood」
風味と食感にやみつき!旨味が詰まった福島のマダコ
福島では、年間を通してタコの水揚げがある。夏場はミズダコ、秋~春はヤナギダコがよく獲れ、冬場(11~2月)に多く獲れるのがマダコだ。身に水分を多く含み柔らかいミズダコと比較すると、一般的に「マダコは身質が固い」と言われている。しかし、常磐もののマダコは「ほどよい固さ」が特徴。風味がよく筋肉質な身に旨味が凝縮されている。
相馬市にあるマル六佐藤水産は、独自の味付け・製法での加工品を生産している企業だ。40年近く前から、マダコ加工に力を入れており、現在は豊洲市場を中心に出荷している。マル六佐藤水産の4代目で、専務の佐藤智紀さんに、常磐もののマダコについて話を聞いた。[Presented by 水産庁]
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見映え・味・食感にこだわるマダコ加工
佐藤さんによると、マダコを生で食べることはあまりなく、ほとんどが茹でて刺し身などで食べられる。茹でることで旨味が増し、歯切れも良くなるのだそう。栄養豊富な常磐の海で育ったマダコは足が太く食べ応えがあり、だからこそ身の中心部の柔らかさが引き立つ。佐藤さんは「個人的にタコの中で1番好き」だという。
マル六のこだわりは、マダコを「生きた状態で仕入れる」こと。新鮮なうちに下処理をすることで、見映え・味・食感が格段に良くなるという。また、ぬめりを取り、柔らかくするため“塩もみ”にも時間をかける。状態によるが、1~2時間かけて揉むのだそう。その後、入念にブラシをかけて吸盤と口の汚れを取る。
マル六のマダコは、皮はパリッとしているが身の中心部は「レア」かと思うほど柔らかい。ボイルする前に、みょうばんを薄めた液体にくぐらせることが、このハリ・食感の秘訣だ。レア感を出すために、煮る時間に注意を払い、毎回マダコの大きさや量を考慮して細かい調整をしているという。
また、マル六のマダコには他とは異なる特徴がある。それは、独自の加工で“濃い茶色”にしていること。佐藤さんいわく、「この加工をしているのは、おそらく日本で自分たちだけ」。卸先である豊洲市場では「昔からこの茶色こそがマル六の証」という認識で、高いニーズがあるそう。
「地元の魚を使う」強い想い
相馬港近くにあるマル六佐藤水産は、震災で大きな被害を受けた企業のひとつだ。
当時の工場は津波でほとんど流されてしまったが、同じ場所に再建した。廃業を選ぶ同業者も多い中、事業再開を後押ししたのは社長の「相馬の魚を扱いたい」という強い想いだったという。苦労した時期も長かったが、現在は「他県と変わらない相場で出荷できている」という。
取材の最後、あらためて佐藤さんに常磐ものの魅力を聞いた。すると返ってきたのは、「食べてもらったほうが早い」という言葉。マダコをはじめ、取り扱う水産品の質に自信を見せた。