ふくしま「おいSeaFood」
魚のプロから見た常磐ものの魅力とは?
脂乗りがよく身が厚い常磐ものは、市場関係者の中でも一種のブランドとして扱われ、全国的に高い評価を得ている。では、普段別の漁場の魚をメインに扱う人たちには、どのように映るのだろうか。愛知県の鮮魚店で働く男性YouTuberが福島県いわき市の小名浜を訪れ、プロの目線で常磐ものの実力を確かめた。[Presented by 水産庁]
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“噂の”現場に潜入
教えてくれたのは…
愛知県の海産物市場「豊浜魚ひろば」の鮮魚店で働きながら、YouTubeで魚に関する様々な情報を発信している「へんな魚おじさん」と、同施設で干物店を営みながら動画配信を手伝う「ヒゲの兄貴」の2人だ。
豊浜漁港は愛知県内で最も水揚げ量が多く、2人は幼い頃から魚を扱い、また食してきた経験から、魚に関する豊富な知識を持っている。
「“常磐ものはうまい”と噂には聞いています。どんな魚なのか楽しみです。」
代表格の“あの魚”に感動!
まずは水揚げされた魚をチェック。この日は、カレイやアナゴ、カマスなどが水揚げされていた。近年は相双沖でトラフグが水揚げされるようになるなど魚の生息地が変化してきていることもあり、「愛知ともそこまで魚の種類は変わらない」と2人。しかし、そんな2人もヒラメには驚いた様子。ヒラメは常磐ものを代表する魚の一つであり、1mを超える特大サイズが水揚げされることもしばしば。ケースからはみ出すほどのヒラメにへんな魚おじさんも思わず「うわ!こんなヒラメが上がるなんて、羨ましい」と感動していた。
安全さも常磐ものの魅力
続いて2人がやってきたのは、小名浜魚市場の建物にある検査室。福島県では福島第一原発事故の後、水揚げされた魚の放射性物質検査が行われてきた。対象はその日出荷される全ての魚種で、100g以下の小さな魚はミンチ状に、300gを超える魚は開きにして検査機にかけて測定する。基準値は国(1キロあたり100ベクレル)よりも厳しく、1キロあたり50ベクレルに設定。
これには2人も「こんなにしっかり検査をしているなんて知らなかったし、食の安全を第一に考えているんだなと思った」とのこと。美味しさはもちろんのこと、消費者が安心して手に取れることも、常磐ものの魅力の一つなのだ。
味覚で感じた常磐ものの実力は…?
常磐ものを味わうために訪れたのは、小名浜魚市場のすぐそばにある観光物産館「いわき・ら・ら・ミュウ」。港直送の新鮮な魚介類が手に入るほか、食事や浜焼きなどを楽しむことができ、まさに2人が働いている「豊浜魚ひろば」と同じような施設だ。
案内してくれたのは、施設内に店舗「小名浜あおいち」を構える上野臺 優(うえのだい・ゆたか)さん。実は名古屋の卸売市場で働いていたこともあるということで、2人と共通点も多い同業者だ。ら・ら・ミュウでは主に加工品を販売しており、イチオシはいわきの郷土料理である「サンマのポーポー焼き」と、メヒカリの開き干し。
「サンマのポーポー焼き」は、サンマのミンチにネギや味噌、ショウガなどを混ぜ、ハンバーグ状にして焼いたもの。サンマの脂が火に落ちて「ポーポー」と音を立てたことからその名がついたという説もある。
メヒカリの開き干しは、メヒカリの身を丁寧に開いて干物にしたものだ。
試食!その味は…?
おすすめの2品を早速2人も食べてみることに。口に入れてすぐ飛び出したのは「うまい!」の一言。特にメヒカリは「干物の状態でもしっかり脂が乗っている」と絶賛。実は豊浜でもメヒカリは水揚げされるそうだが、数が少ない上に身が小さめで、一般的にはあまり食べられていないそう。それだけに、身が厚くふっくらジューシーなメヒカリは初めての体験だったのだそうだ。
サンマのポーポー焼きも「魚の臭みが無くて美味しい。子供も喜びそう」などと、あっという間に平らげ、お土産分も購入。
「みんなに食べてもらいたい」
今回の視察を、へんな魚おじさんは「“常磐ものはうまい”と噂には聞いていましたけど、噂に違わぬ美味しさでした」、一方のヒゲの兄貴は「特に初めて食べたメヒカリに感動しました。みんなに食べてもらいたい」とそれぞれ振り返った。
現在いわき沖の漁獲量は、原発事故前の3割ほどまでしか回復していないという。2人は、「こんなに美味しい魚が水揚げされるのだから、全盛期の頃まで戻るといいな」と、福島の漁業復活への願いも強くした。